Verification Lab ― Report 04

利確を決めたら、
成績は下がった

含み益が一定まで乗ったら利益確定する。多くの人が「良いルール」と考えるこの条件を、実際に運用しているシステムに足して、数字がどう動くかを観測しました。日本株341銘柄・10.7年・1,124トレード。

341銘柄
対象(10.7年)
1,124件
基準のトレード数
+509.9% → +450.6%
総リターン(15%利確)
−14.3% → −17.6%
最大ドローダウン
ホーム/検証ラボ/利確ルールの観測
この記録が「していない」こと
はじめに範囲をはっきりさせておきます。ここで行ったのは、3つの戦略を統合したシステムの上に、利確の条件を1つ重ねたときに、システム全体の数字がどう動いたかの観測です。

したがって、成績が下がったとしても、それは「この構成に、この条件を重ねた場合」の観測にすぎません。 利確という考え方そのものの良し悪しを判定したものではありません。 結論を出すための検証ではなく、挙動を観測するための研究として読んでください。
Contents
  1. 何を、どう変えたのか
  2. 結果 ― 3つの数字が同じ方向に動いた
  3. 意外だったこと ― 落ち込みが深くなった
  4. 読み方の候補
  5. この研究の限界

何を、どう変えたのか

土台は、実際に運用しているシステムそのものです。BNF-LITE(逆張り)・MOMENTUM(順張り)・Minervini-LITE(成長株)の3戦略を併用しています。

そこに変えたのは、利益確定の条件だけ。含み益が15%に達したら手仕舞う版と、20%で手仕舞う版を用意し、条件を何も足さない状態(以下「基準」)と比べました。

検証期間
2015-12-09 〜 2026-08-13(約10.7年)
対象
日本株 341銘柄
資金
初期資金 100万円・単利(増えた資金は再投資しない)
リスク
1トレードあたり 1.0%
同時保有
最大 10銘柄
変えたもの
利確の条件のみ(15% / 20%)
含まないもの
売買手数料・税金・スリッページ

結果 ― 3つの数字が同じ方向に動いた

実験件数勝率PF最大DD総リターン年率
基準(利確なし)1,12448.8%2.05−14.3%+509.9%+20.2%
15%で利確95146.9%2.02−17.6%+450.6%+19.0%
20%で利確92646.3%1.98−10.0%+426.3%+18.4%
観測

利確の条件を足すと、トレード数・勝率・総リターンの3つが、いずれも下がりました。15%利確で総リターンは +509.9% → +450.6%、20%では +426.3%。勝率も 48.8% から 46.9% / 46.3% へ下がっています。

トレード数が減るのは当然です。利確で早く手仕舞えば、その分だけ次の取引に移るからではなく、1回の取引が短く終わるためです。ただし、勝率まで下がったのは、事前には読めませんでした。

意外だったこと ― 落ち込みが深くなった

この研究でいちばん予想と違ったのが、ここです。

観測

15%利確では、最大ドローダウンが −14.3% から −17.6% へと深くなりました。利益確定はリスクを下げる行為だと受け取られがちですが、この実験ではそうなっていません。

「早めに利確しておけば、下落に巻き込まれずに済む」——直感的にはそう思えます。しかし数字はその逆を示しました。利確を入れたほうが、資産のピークからの落ち込みが大きかったのです。

なお20%利確では −10.0% と浅くなっており、利確幅によって向きが変わっています。「利確すればDDが浅くなる」とも「深くなる」とも、この2例からは言えません。

読み方の候補

読み方の候補
利確で早く現金化した分が、次の取引に回ります。その結果、下落局面で持っている銘柄が増え、落ち込みが深くなった可能性があります。 ただし、この実験からそう断定することはできません。原因を確かめるには、利確後に資金がどう動いたかを追う別の検証が要ります。
読み方の候補
勝率が下がったのは、本来もっと伸びていた取引を、途中で打ち切ったためかもしれません。 利確ラインに届いてから下落に転じる銘柄もあれば、そのまま伸び続ける銘柄もあります。後者を取り逃がした分が、 平均を押し下げた——という説明は成り立ちますが、これも本実験だけでは確かめられません。

確かなのは、「利確を決めれば安全になる」という前提が、この構成では成り立たなかったという事実だけです。

この研究の限界

これは売買の指示ではありません
本記録は研究の記録であり、特定の売買手法を推奨・勧誘するものではありません。 当サイトは投資助言・代理業の登録業者ではありません。 「利確しないほうが良い」と述べているのではなく、この構成ではこう動いたという観測を共有しています。 投資はご自身の判断と責任において行ってください。
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残り4つの観測は、会員ページで

この研究では、利確のほかにも8通りの条件を試しています。エントリー条件を絞ったときに勝率とリターンが逆に動いたこと、4つの指標すべてが改善した唯一の条件、手法より対象銘柄数のほうが最大ドローダウンを大きく動かしたこと、そして同じ取引でも資金の張り方だけでプロフィットファクターと最大ドローダウンが逆方向に動いたこと。全9実験の数値表と4点の図を、会員レポートに掲載しています。

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