一目均衡表は、5本の線と「雲」を使って、相場の強弱と時間の流れを一枚のチャートで読み取るための、日本生まれの指標です。
日本株10年の検証結果
雲は遅すぎた
(1回の売買あたり)
TOPIX500の490銘柄を対象に、2016年1月〜2025年12月の10年分で、教科書どおりのシグナルが出た翌営業日に買い、20営業日後に売った場合の成績です。同じルールでランダムなタイミングに買った場合と比べて、1回の売買あたり+0.64%の差がありました。勝率は売買の何割で利益が出たかを示す数字で、判定には使っていません。
10年を通すと、ランダムに買った場合を上回っています。それでも判定が「×捨てろ」なのは、10年の平均だけで判定していないからです。相場が上げているとき・下げているとき、期間の前半・後半の4つに分け、売り方2通り(出口A・出口B)のそれぞれで、ランダムに買った場合との差が実質ライン(+0.3%)を超えているかを確かめています。実質ラインは、わずかなプラスを誤差と見なさないための線で、これを超えて初めて「効いている」とみなします。◎の指標は、8つの区分すべてでこの線を超えました。一目均衡表の判定の根拠になった区分は次のとおりです。
| 区分 | 売り方 | ランダムとの差 | 実質ライン |
|---|---|---|---|
| 後半(2021年〜2025年) | 出口A(20営業日後に売る) | +0.09% | 届かず |
| 後半(2021年〜2025年) | 出口B(8%トレーリング) | +0.14% | 届かず |
| 下落局面(市場全体が下げ基調の時期) | 出口A(20営業日後に売る) | +0.25% | 届かず |
| 前半(2016年〜2020年) | 出口A(20営業日後に売る) | +0.90% | 超えた |
8つの区分すべての成績は、本に収めています(検証のしかた)。
検証したのは、株価が雲を上に抜けた日に買う使い方だけです。三役好転など、一目均衡表のほかの使い方は検証していません。
検証の条件
| 期間 | 2016年1月〜2025年12月(10年間) |
|---|---|
| 対象 | TOPIX500構成銘柄(490銘柄が有効) |
| 売買ルール | 買い:一目均衡表(雲上抜け)の教科書どおりのシグナル(下の「検証したルール」)が出た翌営業日の寄付で成行買い 売り:買ってから20営業日後に売る(出口A)。このページの数字は、この売り方の成績 パラメータ:すべて教科書のデフォルト値。最適化は一切なし |
| 手数料・スリッページ | 往復0.3%(手数料+すべり)を毎回差し引き |
| 比べた相手 | デタラメ売買(ランダムエントリー)約1万4千回 |
どんな指標か
日本生まれの世界的チャート理論。「雲」で相場を読む
結論
雲の上抜け買いは遅すぎる。優位性は残っていない
検証したルール(教科書の使い方)
一目均衡表の代表的な買いサインである「雲の上抜け」——株価が抵抗帯(雲)を上に突き抜けた日を買う使い方です。
書籍『最新日本株10年で全検証 本当に使えるテクニカル指標』より
一目均衡表とは
一目均衡表(いちもくきんこうひょう)は、昭和の初めに細田悟一(筆名・一目山人)が考案した、日本生まれのテクニカル指標です。名前のとおり「相場の状態をひと目で見る」ことを目指して作られ、いまでは海外でも「Ichimoku」の名で使われています。
ほかの多くの指標が「価格」だけを見るのに対して、一目均衡表は時間も重視します。線の一部を未来や過去にずらして描くのはそのためで、ここがほかの指標との大きな違いです。
5本の線
一目均衡表は、次の5本の線で描かれます。一般的な設定は「9・26・52」です。
転換線は短い期間、基準線はやや長い期間の値動きの中心を表します。移動平均線が終値の平均なのに対して、一目均衡表の線は「高値と安値の中間」を使う点が特徴です。
雲の見方
先行スパン1と先行スパン2に挟まれた帯を雲(抵抗帯)と呼びます。一目均衡表の見方の中心は、この雲と株価の位置関係です。
- 株価が雲の上:強い相場とされ、雲が下値の支えになると見られます。
- 株価が雲の下:弱い相場とされ、雲が上値の重しになると見られます。
- 株価が雲の中:方向感のはっきりしない、もみ合いの状態とされます。
雲が厚いほど抵抗は強く、薄いほど抜けやすいと考えられています。また、先行スパン1と2が入れ替わって雲がねじれる場所は、相場の流れが変わりやすい時期の目安とされます。
三役好転
一目均衡表には、雲の上抜けのほかにも多くの使い方があります。よく知られているのが三役好転で、次の3つがそろった状態を指します。
- 転換線が基準線を上回っている
- 遅行スパンが、26日前の株価を上回っている
- 株価が雲の上にある
3つの条件を重ねるぶん、ひとつの条件だけを見るよりも慎重な見方とされます。反対に、3つとも逆になった状態は三役逆転と呼ばれます。
一目均衡表の線は、過去の高値と安値から計算されます。雲は先の日付にずらして描かれますが、未来の値動きを知っているわけではありません。使い方が多いぶん、どの見方を採るのかを先に決めておかないと、都合のよいサインだけを拾ってしまいがちです。
スイングトレードでの見方
一目均衡表は、雲・5本の線・三役好転と、見るところの多い指標です。だからこそ、日本株のスイングトレードで使うなら、どの条件を見て、何をするのかを事前に一つに決めておくことが大切です。
このページの冒頭の検証は、そのうち「雲の上抜け」という一つの使い方を、教科書どおりに確かめたものです。ほかの使い方を試すときも、同じように条件を決め、その条件で過去の成績を確かめてから使うのが、感情に流されない判断につながります。
相場環境ごとの成績と、なぜ効くのかは本で
相場が上げているとき・下げているとき、期間の前半・後半に分けた成績、売り方を2通り試した比較、その指標がなぜ機能するのか(しないのか)、実戦での使い方は、書籍『最新日本株10年で全検証 本当に使えるテクニカル指標』に26指標すべて収録しています。
この検証を引用するときは、出典:ルールトレード(https://ruletrade.jp/indicator-ichimoku.html)と書いてください。自由に引用できます。