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Technical Indicator

MACDは日本株で使えるか

TOPIX500の10年分のデータで、教科書どおりの使い方を検証しました。判定は×捨てろ。あわせて、MACDの基本と見方・注意点を解説します。

MACDは、2本の移動平均線の差を使って、トレンドの「勢い」と「転換のタイミング」を読み取るための指標です。

日本株10年の検証結果

×捨てろ後半5年で優位性が消滅

定番の代表。後半5年で消滅

30,833回
検証した売買の数
53.0%
勝率(参考値)
+0.74%
ランダムに買った場合との差
(1回の売買あたり)

TOPIX500の490銘柄を対象に、2016年1月〜2025年12月の10年分で、教科書どおりのシグナルが出た翌営業日に買い、20営業日後に売った場合の成績です。同じルールでランダムなタイミングに買った場合と比べて、1回の売買あたり+0.74%の差がありました。勝率は売買の何割で利益が出たかを示す数字で、判定には使っていません。

10年を通すと、ランダムに買った場合を上回っています。それでも判定が「×捨てろ」なのは、10年の平均だけで判定していないからです。相場が上げているとき・下げているとき、期間の前半・後半の4つに分け、売り方2通り(出口A・出口B)のそれぞれで、ランダムに買った場合との差が実質ライン(+0.3%)を超えているかを確かめています。実質ラインは、わずかなプラスを誤差と見なさないための線で、これを超えて初めて「効いている」とみなします。◎の指標は、8つの区分すべてでこの線を超えました。MACDの判定の根拠になった区分は次のとおりです。

区分売り方ランダムとの差実質ライン
後半(2021年〜2025年)出口A(20営業日後に売る)−0.00%届かず
後半(2021年〜2025年)出口B(8%トレーリング)+0.16%届かず
前半(2016年〜2020年)出口A(20営業日後に売る)+1.20%超えた

8つの区分すべての成績は、本に収めています(検証のしかた)。

検証の条件

期間2016年1月〜2025年12月(10年間)
対象TOPIX500構成銘柄(490銘柄が有効)
売買ルール買い:MACDの教科書どおりのシグナル(下の「検証したルール」)が出た翌営業日の寄付で成行買い
売り:買ってから20営業日後に売る(出口A)。このページの数字は、この売り方の成績
パラメータ:すべて教科書のデフォルト値。最適化は一切なし
手数料・スリッページ往復0.3%(手数料+すべり)を毎回差し引き
比べた相手デタラメ売買(ランダムエントリー)約1万4千回

どんな指標か

移動平均の勢いの転換を捉える超定番指標

結論

ゴールデンクロス買いは、もう機能しない

検証したルール(教科書の使い方)

教科書には「MACD線がシグナル線を下から上に抜いたら買い(ゴールデンクロス)」と書いてあります。検証もこのルール通り。デフォルトの設定値(12日・26日・9日)で、ゴールデンクロスの翌営業日に買いました。

書籍『最新日本株10年で全検証 本当に使えるテクニカル指標』より

26指標すべての判定一覧と、検証のしかた →

MACDとは

MACD(マックディー)は「Moving Average Convergence Divergence」の略で、日本語では「移動平均収束拡散」などと訳されます。名前のとおり、2本の移動平均線が近づいたり(収束)離れたり(拡散)する動きから、相場のトレンドと勢いを読み取る指標です。

ここで使う移動平均線は、単純移動平均ではなく、直近の価格をより重視する指数移動平均(EMA)です。一般的には「短期12・長期26」のEMAが使われ、この2本の差をもとにMACDが計算されます。短期と長期の差を見ることで、トレンドが強まっているのか、弱まっているのかを把握しやすくなります。

MACDを構成する3つの要素

MACDのチャートは、次の3つの要素から成り立っています。それぞれの役割を整理しておきましょう。

要素
中身
役割
MACD線
短期EMAと長期EMAの差
トレンドの方向と勢いを示す主役の線
シグナル線
MACD線を移動平均した線(一般に9期間)
MACD線の動きをならし、売買の目安を作る
ヒストグラム
MACD線とシグナル線の差を棒で表したもの
勢いの強弱や転換の予兆を視覚的に示す

つまり、MACD線が「いまのトレンドの状態」を表し、シグナル線が「その変化を確認するための基準」、ヒストグラムが「2本の差=勢いの大きさ」を表す、という関係になっています。

MACD線 シグナル線 0 ゴールデンクロス
MACD線がシグナル線を下から上に抜く「ゴールデンクロス」は、上昇の勢いが強まる場面とされます。ヒストグラム(2本の差)が0より上で伸びるほど上昇の勢いが強いことを示します。いずれも単独ではなく、相場環境と合わせて判断します。

ゴールデンクロスとデッドクロス

MACDで最もよく見られるのが、MACD線とシグナル線の交差です。移動平均線のクロスと同じ考え方で、次のように解釈されます。

ただし、これらはあくまで「サインとされる」一般的な解釈です。クロスが出たからといって、価格がその方向に動くと決まっているわけではありません。後述するだましもあるため、ひとつの目安として捉えることが大切です。

ゼロラインの意味

MACDには、中央に引かれたゼロライン(0の水平線)があります。MACD線は短期EMAと長期EMAの差なので、この値がプラスかマイナスかで、おおまかなトレンドの方向を判断できます。

教科書では、クロスの位置をゼロラインと合わせて見ると精度の手がかりになる、とされることが多くあります。たとえば「ゼロラインより下でのゴールデンクロス」と「ゼロラインを上抜けた後のゴールデンクロス」では、相場の状況が異なる、という考え方です。なお、冒頭の検証はゴールデンクロスだけで買った成績で、ゼロラインとの組み合わせは検証していません。

ヒストグラムで勢いを見る

ヒストグラムは、MACD線とシグナル線の差を棒グラフで表したものです。2本の線が離れているほど棒は長くなり、近づくほど短くなります。これは、そのまま「トレンドの勢い」を映し出します。

クロスが起こる前にヒストグラムは縮み始めるため、線の交差よりも一歩早く勢いの変化に気づける点が、ヒストグラムの利点です。

Point

MACDは移動平均をもとにした指標のため、価格の動きに対して反応が少し遅れる「遅行性」があります。クロスやサインが「だまし」になることも珍しくありません。そのため教科書では、MACD単独で判断せず、相場環境や出来高など、ほかの要素と組み合わせて使うことがすすめられます。

スイングトレードでの活かし方

よく言われる使い方は、MACDを「売買の唯一の根拠」にせず、トレンド転換を確認するための補助にするものです。たとえば「相場全体が上昇基調にあり、押し目でMACDがゴールデンクロスした」のように、複数の条件がそろったときに初めて意味を持つ、と紹介されます。

ただし、日本株10年の検証では、MACDのゴールデンクロスで買うルールは「×捨てろ」でした。期間の前半は効いていましたが、後半の5年は、ランダムに買った場合とほとんど差がありません(冒頭の数字)。上のような組み合わせ方は検証していないので、使うなら、その条件で過去の成績を確かめてからにするのが安全です。

大切なのは、サインを感覚で追いかけるのではなく、あらかじめ決めたルールが、いまの相場でも本当に機能しているかを確かめ続けることです。教科書に載っている定番のサインでも、効かなくなることがある。MACDは、そのことを示す代表例です。

Book

相場環境ごとの成績と、なぜ効くのかは本で

相場が上げているとき・下げているとき、期間の前半・後半に分けた成績、売り方を2通り試した比較、その指標がなぜ機能するのか(しないのか)、実戦での使い方は、書籍『最新日本株10年で全検証 本当に使えるテクニカル指標』に26指標すべて収録しています。

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この検証を引用するときは、出典:ルールトレード(https://ruletrade.jp/indicator-macd.html)と書いてください。自由に引用できます。

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本記事は投資・チャートに関する一般的な教育・情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨・勧誘するもの、または投資判断について助言するものではありません。投資はご自身の判断と責任において行ってください。 免責事項の詳細