ボリンジャーバンドは、移動平均線の上下に値動きの幅(標準偏差)を帯状に描き、価格の行き過ぎや変動の大きさを目で見えるようにした指標です。
日本株10年の検証結果
逆張り限定。損切りとセットで
(1回の売買あたり)
TOPIX500の490銘柄を対象に、2016年1月〜2025年12月の10年分で、教科書どおりのシグナルが出た翌営業日に買い、20営業日後に売った場合の成績です。同じルールでランダムなタイミングに買った場合と比べて、1回の売買あたり+1.58%の差がありました。勝率は売買の何割で利益が出たかを示す数字で、判定には使っていません。
検証の条件
| 期間 | 2016年1月〜2025年12月(10年間) |
|---|---|
| 対象 | TOPIX500構成銘柄(490銘柄が有効) |
| 売買ルール | 買い:ボリンジャーバンド(-2σ)の教科書どおりのシグナル(下の「検証したルール」)が出た翌営業日の寄付で成行買い 売り:買ってから20営業日後に売る(出口A)。このページの数字は、この売り方の成績 パラメータ:すべて教科書のデフォルト値。最適化は一切なし |
| 手数料・スリッページ | 往復0.3%(手数料+すべり)を毎回差し引き |
| 比べた相手 | デタラメ売買(ランダムエントリー)約1万4千回 |
どんな指標か
統計が引いた株価の「道路」。-2σはその端
使い方
-2σを割ったら買う、というルールで検証した。本の結論では、損切りとセットで使うことが前提
検証したルール(教科書の使い方)
「-2σを割ったら売られすぎ。反発を狙う」——検証はこのルールです。終値が-2σラインを下に割った日がシグナル、翌営業日の寄付で買い。
なお教科書には正反対の使い方(+2σ超えを勢いと見て順張り買い)も載っていますが、本書の検証対象は逆張り側です。順張りのバンドブレイクがどうなるかは、原理が近いケルトナーチャネル(第4章)の惨状が参考になります。
書籍『最新日本株10年で全検証 本当に使えるテクニカル指標』より
ボリンジャーバンドとは
ボリンジャーバンドは、米国の投資家ジョン・ボリンジャー氏が考案したテクニカル指標です。中心に移動平均線(ミドルバンド)を置き、その上下に標準偏差(σ:シグマ)で計算した線を引いて、価格が動く「帯(バンド)」を表します。
上下の線は、ミドルバンドから±1σ、±2σ(場合によっては±3σ)離れた位置に描かれます。値動きが大きいときはバンドの幅が広がり、値動きが小さいときは幅が狭まります。つまりバンドの幅そのものが、その時々のボラティリティ(変動の大きさ)を表しているのです。
スイングトレードでは、主に日足のチャートにミドルバンド(一般に20日移動平均線)と±2σを表示して使うことが多くなっています。
バンドが示す確率
ボリンジャーバンドの背景には、統計学の考え方があります。価格の動きが正規分布に近いと仮定すると、価格は次のような割合でバンドの中に収まるとされます。
たとえば±2σ以内に約95%が収まるということは、価格が±2σの線に届く・はみ出すのは「比較的めずらしい状態」だと考える、ということです。ただしこれはあくまで統計的な目安であり、相場では実際にこの確率どおりにならない場面も多くあります。「絶対にここで止まる」という保証ではない点に注意してください。
スクイーズとエクスパンション
ボリンジャーバンドで特によく見られるのが、バンドの幅の変化です。
- スクイーズ(収縮):バンドの幅がぎゅっと狭まった状態。値動きが小さく、エネルギーがたまっている局面と見ます。
- エクスパンション(拡大):バンドの幅が大きく広がった状態。値動きが活発になり、トレンドが出ている局面と見ます。
一般に、スクイーズのあとにはエクスパンションが来やすいとされます。静かに保ち合っていた相場が、あるとき一気に動き出す、というイメージです。
この「ボラティリティが収縮したあとに大きく動きやすい」という考え方は、マーク・ミネルヴィニ氏が説くVCP(ボラティリティ・コントラクション・パターン=ボラ収縮)とも通じるところがあります。値動きが落ち着いて準備が整った局面を探す、という発想は共通しています。
逆張りと順張り、2つの見方
ボリンジャーバンドは、立場によって正反対の使われ方をする指標です。ここは誤解されやすいので、丁寧に整理します。
逆張りとしての見方
価格が±2σの線にタッチすると、「行き過ぎ」と捉え、ミドルバンドへ戻る動きを狙う、という見方です。レンジ相場(一定の幅で行き来する相場)では、この考え方が当てはまりやすいとされます。
順張りとしての見方(バンドウォーク)
一方、強いトレンドが出ているときは、価格が±2σの線に沿うように動き続けることがあります。これをバンドウォークと呼びます。教科書では、この局面で「±2σにタッチしたから逆張り」と考えるとトレンドに逆らうことになる、と注意されます。むしろトレンドの強さの表れとして、順張りで捉える見方もあります。
つまり教科書では、同じ「±2σタッチ」でも、相場がレンジなのかトレンドなのかで意味がまったく変わる、と説明されます。
日本株10年の検証で確かめたのは、逆張りのほうです。終値が-2σを下に割ったら買うというルールで、相場がレンジかトレンドかを見分けずに売買しても、ランダムに買った場合を上回りました(冒頭の検証結果)。
検証で成績が良かった逆張りでも、強いトレンドの中ではバンドウォークが続き、1回1回の売買では大きな損が出ることがあります。本の結論が「損切りとセットで」なのはそのためです。どんな相場環境でも、負ける売買が混ざる前提でルールを決めておくことが大切です。
スイングトレードでの活かし方
解説記事では、ボリンジャーバンドを単独の売買サインとして使うより、ルールの一部として組み込むのが現実的だ、とされることが多くあります。たとえば「スクイーズで値動きが収縮した銘柄が、バンドの拡大を伴って高値を抜けたところを狙う」のように、ボラの収縮からのブレイクを手がかりにする使い方もよく紹介されます。
ただ、日本株10年の検証で◎になったのは、-2σ割れで買う逆張りの使い方です。収縮からのブレイクに近い考え方のルール(HVスクイーズ、ケルトナーチャネルの上抜け)は、判定一覧のとおり「×捨てろ」でした。
大切なのは、バンドの形を感覚で当てにいくのではなく、あらかじめ決めた条件の一つとして淡々と使うことです。指標をどう戦略に落とし込むかについては、攻略ガイドの戦略の章(三つの戦略を使い分ける)で体系的に整理しています。
相場環境ごとの成績と、なぜ効くのかは本で
相場が上げているとき・下げているとき、期間の前半・後半に分けた成績、売り方を2通り試した比較、その指標がなぜ機能するのか(しないのか)、実戦での使い方は、書籍『最新日本株10年で全検証 本当に使えるテクニカル指標』に26指標すべて収録しています。
この検証を引用するときは、出典:ルールトレード(https://ruletrade.jp/indicator-bollinger.html)と書いてください。自由に引用できます。